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薬局の事業承継(継承)の教科書【売り手必見】

薬局の「事業承継」「事業継承」とは?


事業継承とは


事業継承とは、それまでの経営者から新たな経営者に事業を引き継ぐこと。調剤薬局の事業継承では、調剤薬局の資産や経営権、義務などが引き継ぎの対象となります。

経営者の子供など身内へと引き継がれるケースから調剤薬局業界に積極的に参入している大手ドラッグストアチェーンに売却するケースまで、事業承継の内容は千差万別。国内にある調剤薬局数約6万件のほとんどは地域に根ざした中小規模の薬局ですが、経営者の高齢化などの問題から事業継承は増加傾向にあります。

※参照:厚生労働省『薬局薬剤師に関する基礎資料(概要)』(令和4年9月14日)


M&Aと事業継承の違い


M&Aとは、買収(Mergers)と合併(Acquisitions)のことを指し、事業継承における一手法として用いられています。

従来の事業継承は経営者が身内や知り合いに後継者となってもらう方法が主流でしたが、中小企業の後継者不足によって、従業員や役員だけでなくそれまで面識のなかった第三者も対象とするようになりました。M&A仲介会社などの専門家を通じて後継者となる可能性のある第三者を探し、事業の引き継ぎを目的に経営権などを譲渡または移転します。

M&Aによる事業継承には、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2種類があります。


・株式譲渡
株式譲渡とは、売り手側の全ての株式を買い手側に譲渡する事業継承のこと。会社を丸ごと売却するため、売り手側は高値で売却しやすく、買い手側は全ての経営権や事業資産を獲得できる反面、売り手側が抱えている負債も引き継ぐため、購入後に簿外債務が発覚するリスクがある。

・事業譲渡
対象とする事業の営業権のみを買い手側に手放す事業継承のこと。売り手側は手放したい事業のみを売却でき、買い手側は特定の資産のみを買収できるというメリットがある。ただし、株式譲渡よりも売却益が低くなりやすく、かつ譲渡対象となる事業や資産別に契約が必要となり手間がかかる。

調剤薬局を後継者に譲り引退したいと考えている場合は、株式譲渡を選択するのが一般的。調剤薬局の経営のみを手放したいという場合は、事業譲渡を選択して会社を手元に残す方法が向いています。

事業継承と事業承継の違い


事業継承と似た言葉に「事業承継」がありますが、「事業承継」は「事業継承」が引き継ぐ経営権や資産など物理的なものに加えて、経営理念といった抽象的なものも引き継ぐ意味で用いられています。

厳密にいうと意味は異なるものの、ネット上では同義語として用いられることも少なくありません。そのため、本記事では「事業承継」と「事業継承」は同じ意味として扱います。

事業承継の相場


薬局の売却では譲渡価格相場を参考に売り手側と買い手側が交渉を行い、最終的に売却額を決定します。事業承継の相場を把握することによって「安く買い叩かれてしまった」という事態を避けられるでしょう。

譲渡価格に影響を与える基準として、以下の2つがあります。

・時価純資産価額(実態純資産)
調剤薬局の資産(レセプトコンピューター、建物、在庫など)から負債を差し引いたもの

・営業権
調剤薬局の年間営業利益のこと。通常は、「年間営業利益×3~5年」で算出される

中小規模の事業承継の場合は、「時価純資産価額+営業権」の計算式を使って価格相場を算出するケースが一般的です(この計算方法のことを「年倍法」といいます)。

例えば、時価純資産価額が1,500万円で、営業権が1,000万円と算出されたとすると、その場合の売却額は、「1,500万円+(1,000万円×2~5年)=3,500~6,500万円」。ただし、年倍法によって算出される価額はあくまでも目安であり、買い手側との交渉によって前後することも珍しくありません。

調剤薬局を評価する場合は年倍法に以下の項目を加算し、それを価格相場とするケースが多いようです。

・毎月の調剤技術料:処方箋に基づいた調剤に対して発生する料金(「調剤基本料」「調剤調製料」「各種加算料」の3種類がある)

・毎月の処方箋応需枚数:1か月に応需した処方箋の枚数

・薬剤師の数

・集客性

・事業の成長性

M&Aの専門家は、「バリュエーション(企業価値評価)」という方法で調剤薬局の価値を評価します。バリュエーションには以下のアプローチ方法があります。

・マーケットアプローチ(市場基準法)
同じ市場における取引事例を参考に、企業を評価する方法。上場している会社の場合は株式市場で取引された株価がベースとなり、非上場の調剤薬局の評価には過去の類似取引が用いられる。客観性に優れているが、その企業が持つ独自性を評価に盛り込みにくい。

・インカムアプローチ(DCF法)
将来の収益力に着目して企業を評価する方法。想定した将来の収益と支出をベースに売却価格を決めるため、収益性の高い調剤薬局は高評価となる可能性が高くなる。一方で恣意的な要素が入り込みやすく、精度にばらつきが出やすい。

・コストアプローチ(資産基準)
現時点における資産と損益をベースに企業を評価する方法。純資産に着目することによって、合理的な数字を算出しやすい。ただし、財務諸表にミスがあった場合は精度が落ち、将来の収益性が反映されにくい。

専門家は複数のアプローチ方法から最適なものを選び、その企業を適切に評価するよう努めます。そのため、バリュエーションによって算出された売却価格は買い手側と売り手側の双方にとって年倍法よりも納得感を得やすく、スムーズな交渉が期待できます。

大手ドラッグストアのM&Aによる事業承継事例


調剤薬局業界では、大手薬局チェーンによる小規模な調剤薬局の事業承継が多々行われています。

一例として、2024年5月に行われたクオールホールディングス(クオールHD)の事業承継の事例をご紹介しましょう。

クオールHDは1992年に創業した保険薬局事業と医薬品の販売業をメインに展開しているホールディングカンパニー(持株会社)で、全国展開している「クオール薬局」の運営元としても知られています。同社は2024年5月と7月に、合計3件の事業承継M&Aを実施しました。

1. 調剤薬局「ダイナ」の事業承継M&A(2024年5月16日)


ダイナは、山梨県内に18店舗を展開する地方密着型の調剤薬局です。クオールHDはダイナの全株式を取得し、前株主から事業を承継しました。

店舗の中にはドライブスルーサービスを提供しているところもあり、山梨県内における薬局運営事業の展開を後押しすることが期待されています。

2. 調剤薬局「行徳ファーマシー」の事業承継M&A(2024年7月2日)


株式会社行徳ファーマシー(行徳ファーマシー)は埼玉県に拠点を持つ企業で、東京都・千葉県・埼玉県に合計6店舗の調剤薬局「行徳ファーマシー」を展開していました。

クオールHDは、行徳ファーマシーの全株式を取得し事業を承継。在宅医療や365日開局などのサービスを提供している行徳ファーマシーを獲得することで、地域医療の強化を目指しています。

3. 調剤薬局「ボトムハート」の事業承継M&A(2024年7月2日)


クオールHDは、東京都内に2店舗の調剤薬局を展開している「ボトムハート」の全株式を取得しました。ボトムハートも行徳ファーマシーと同じように、在宅医療や365日開局サービスに特徴を持つ調剤薬局です。 今回の事業承継は、クオールHDの「特定地域におけるかかりつけ薬局」戦略の一環と見られています。

薬局における事業継承の方法とメリット・デメリット


親族内承継


「親族内承継」とは、経営者が自身の親族に事業を引き継いでもらうことを指し、経営者の子供や配偶者、いとこなどが親族内承継の後継者に該当します。親族内承継によって後継者は経営権や資産、経営理念などを得て、薬局の経営を担うことになります。

親族内承継のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット


・身近な人物に事業を継いでもらえるため安心感が出やすい

・身内に売却するという点において事業を承継するタイミングを自由に決めやすい

・後継者に薬局で働いてもらうなど、事業承継前に経営者として必要な経験をしてもらいやすい

・親族を新しい経営者にすると従業員や取引先の理解を得やすい

デメリット


・承継に合意してくれる親族を探すのが難しいケースが多い

・身内という関係から甘さが出て、思うように後継者の育成が進まない可能性がある

・複数の候補者がいる場合は争いに発展しやすい

従業員承継


従業員または役員を後継者に指名して継いでもらうことを「従業員承継(社内承継)」といいます。身内ではないものの、よく知る相手に後を継いでもらう点において安心感が増すでしょう。

従業員承継のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット


・経営理念を共有し、経営者としての素質を備えた人物を後継者にできる

・人望の厚い従業員を後継者にすることによって、他の従業員や取引先の理解を得やすい

・すでに会社内外の事情に精通しているため、育成期間が短く済む

デメリット


・後継者は株式を購入するための資金を準備する必要がある

・後継者に対して反発をする従業員が出る可能性がある

・資金調達のために後継者が銀行から借金をした場合、経営者は連帯保証人になる必要がある

第三者への承継


M&Aによって身内や従業員以外の第三者に事業を継いでもらうことが、「第三者への承継」。例えば、M&Aを通じて調剤薬局の事業承継に興味を持った会社に事業を売却するケースが該当します。また、取引先の知り合いの経営者などを外部招聘することも第三者への承継に含まれます。

M&Aによる第三者への承継のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット


・親族内承継や従業員承継よりも幅広い範囲で後継者探しができる

・M&A仲介会社に依頼すれば後継者探しの負担が減る

・買い手側の条件を満たしている場合、希望する売却額以上で売れる可能性がある

デメリット

・必ず買い手が見つかるとは限らない

・希望する売却額よりも安くなる可能性がある

・交渉が長引くなど、予想以上に時間がかかることもある

後継者がいない場合の事業継承の相談先とは


後継者が見つからない場合は、専門家に相談しましょう。後継者探しに関する相談先には以下のようなところがあります。

事業承継・引き継ぎ支援センター


「事業承継・引き継ぎ支援センター」は国が運営している事業継承に関する相談窓口で、親族承継から第三者への承継まで後継者探しの相談に無料で対応しています。必要に応じて「後継者人材バンク」から後継者候補を紹介してもらえることもあります。

商工会議所


商工会議所では、事業承継に関する情報の提供から専門家の紹介、さらに事業承継準備のサポートや後継者の育成支援まで、事業承継に関する課題に幅広く対応しています。

情報の収集や事業承継診断、簡単な相談などは無料で受けられますが、紹介された税理士や弁護士などに相談する場合は費用がかかることもあるため、事前に確認するとよいでしょう。

事業承継・引き継ぎ支援センター金融機関

銀行などの金融機関の中には、事業承継アドバイザーの資格を持つ行員が在籍しているところがあります。利用している金融機関が事業承継支援に取り組んでいるのであれば、調剤薬局の経営状態から今後の方向性について適切なアドバイスを受けたり、後継者を探したりしてもらえる可能性が高まるでしょう。

事業承継・引き継ぎ支援センターM&A仲介会社

M&A仲介会社は、事業を売却したい人と購入したい人を繋ぎ、双方の目的を達成するためにさまざまな支援サービスを提供する専門会社です。M&Aに関する独自のデータベースやネットワークを使って後継者探しをするため、普通に探すよりも短時間で適切な候補者が見つかる可能性が高くなるうえ、後継者が決まった後も事業承継の準備や買い手との交渉、契約締結に関する資料の作成、事業承継後のフォローアップといった支援を受けることが可能です。 M&A仲介会社に依頼する大きなメリットは、事業承継の作業負担が軽減する点、事業承継の成功率が高まる点でしょう。専門家に依頼しても必ず後継者が決まるというわけではありませんが、独自のルートで候補者を探せるだけでなく、専門的なアドバイスやサポートを受けられるため、自力で作業を進めるよりも成功率は高まります。できるだけ早く後継者の問題を解決し事業承継を完結させたい場合は、M&A仲介会社に依頼するのが賢明です。

調剤薬局の事業承継の流れ


事業承継を検討するタイミングとは


「事業承継をいつすればよいのだろうか」と悩む方も多いのではないでしょうか。事業承継を検討するのに適した時期は、「年齢的な難しさ」または「経営的な難しさ」を感じた時です。

年齢的な難しさ

年齢を重ねると、若い頃にできたことができなくなったり病気に対して不安を感じやすくなったりします。体力の衰えには個人差がありますが、一般的にいわれている「経営者が引退する年齢」を一つの目安として、将来の身の振り方を考えるとよいでしょう。

中小企業庁がまとめた資料によりますと、2019年における経営者の平均年齢は約62歳。2020年に休廃業または解散した経営者の年齢は、70代が最も多いということです。

※参照:中小企業庁2021年版「中小企業白書」第3章『事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用』(2024年9月15日)

注意すべきは、事業承継は開始から完了するまでに時間がかかりやすいということ。

事業承継を決めても後継者がいない場合は、候補者を探すことから始める必要があります。仮に後継者が決まったとしても、調剤薬局の経営や医薬品の取り扱いに対して理解が浅い場合は事業承継の過程で教えなければならないでしょう。M&Aで事業譲渡を行った場合は引き継いだ事業や資産ごとに契約を締結する必要があるため、契約数によっては予想以上に時間を要するかもしれません。

「後継者探し」「後継者の育成」「事業承継に関わる作業」を考えると、年齢的な理由から事業承継を検討するタイミングは、引退する5~10年前がベストといえるでしょう。例えば65歳で引退したいと考えた場合、55~60歳の間に検討を始めることになります。

経営的な難しさ


経営の改善が難しく、将来的に経営がさらに厳しくなることが予想される場合は、事業承継を検討する時期と考えてよいでしょう。

実際に経営が悪化してからでは後継者を見つけることが困難になりますから、借金などの負債は無いに越したことはありません。ですが、負債よりも問題視されるのは経営状態。毎月ギリギリの売上で資金調達もままならず、新規利用者が増える見込みも低いというケースでは、たとえ専門家に依頼したとしても買い手が見つかる可能性は低くなります。

検討を重ねて事業承継を決めた場合は、以下にご紹介する事業承継のプロセスに進みます。

現状分析をする


経営している調剤薬局の現状を洗い出します。洗い出す項目は、以下を参考にしてください。

・従業員数

・薬剤師数

・利用者数

・独自性や技術

・資産と負債

・年間の売上と将来の売上予測

・利益率

・キャッシュフロー

・株式数(株式会社の場合)

これらの情報から、「現在の経営状況」「将来の成長性」「長所と短所」が見えてきます。

分析結果は後継者に説明する際に必要となりますので、資料としてまとめておきましょう。

後継者を決める

後継者を決める前に、後継者候補をリストアップしましょう。身内や親類、従業員など知り合いの中で経営者候補にふさわしいと考えられる人の名前を書き出します。該当する人がいないという場合は、理想の人物像でもかまいません。リストアップをしたら候補者の優先順位を決め、優先順位の高い人から順番に交渉していきます。

交渉の際は、分析結果をもとに調剤薬局の現状と今後、さらに現在抱えている課題と解決策を提示します。具体的な言葉で説明することで、相手は調剤薬局の現状を正確に把握し、引き継ぐかどうかを検討しやすくなるでしょう。

相手に断られた場合は、次の候補者に声をかけます。全ての候補者に断られてしまった場合は、M&Aで第三者を見つけるなど、できるだけ早めに方向転換をしましょう。

事業承継を進めていくうえで、後継者から引き継ぐ意志を確認することは不可欠です。必ず合意を形成してから次のステップに進みましょう。その際、合意した旨を文書に残すことをおすすめします。M&A事業承継の場合は、この時点で買い手側と売り手側との間で「基本合意書(提示した条件で合意したことを示す文書)」が締結されます。

事業承継計画書を作成する

事業承継計画書とは、事業承継に関する情報をまとめた資料のこと。事業承継計画書には、売上計画や事業承継の準備の手順、さらに事業を承継した後に発生する引き継ぎなどをまとめます。最低でも、以下の項目を記入するようにしましょう。

・経営者の氏名

・後継者の氏名

・事業承継の概要と基本方針

・事業承継に関わる業務

・事業承継の流れ

・将来的な売り上げ

・経営課題

・問題に対する解決策

事業承継計画書を作成するのは経営者ですが、事業承継には後継者も関わってくるため共同で作成するのが理想です。

※参照:日本政策金融公庫 中小企業事業本部 『経営情報No.421 事業承継計画策定のポイント』(2024923日)

※参照:日本政策金融公庫 『事業承継計画書記入ポイント』(2024923日)


引き継ぎを進める


事業承継計画書を作成したら、引き継ぎ期間に入ります。計画書に沿って期間中に後継者の育成や各種引き継ぎ作業を行いましょう。

具体的な引き継ぎ作業には、大きく分けて「人的なもの」と「物理的なもの」とがあります。

人的な引き継ぎ作業


・経営権

・従業員や取引先(会社に寄せている信頼なども含む)

・企業文化(組織全体の価値観など)

・経営理念

・自社のノウハウ

・特許権 など

物理的な引き継ぎ作業


・調剤薬局の建物や土地

・調剤薬局で使用している設備

・保有している会社の株式

・運転資金

・経営者または調剤薬局の負債や資産 など

育成・引き継ぎ期間中は、調剤薬局を経営するうえで必要な知識やノウハウを身につけてもらうことに集中しましょう。加えて、人的な承継に関する引き継ぎを済ませておくのが理想です。

事業承継を完了する


調剤薬局の経営ノウハウや知識を身につけたら、物理的な引き継ぎ作業に入りましょう。承継の対象となる承継物についてスケジュールを作成し、計画に沿って作業を進めていくよう努めてください。(人的な承継に関しては、引き継ぎ期間に承継していることが理想です)。

事業承継をすると、贈与税や所得税などの税金が発生するものですが、例えば経営者が子供に事業承継を行った場合には贈与税が発生し、事業承継した翌年の2月1日から3月15日までに納税する義務があります。

なお、発生する税金は事業承継の種類によって異なります。未納などのトラブルを避けるためにも、税金については事業承継に詳しい税理士に相談しながら対応するのが賢明です。

【番外編】事業承継をしない場合は廃業へ


事業承継をせずに廃業を選択した場合は、廃業の手続きを行います。

提出する書類は、法人と個人事業主で以下のように異なります。

法人の場合


・会社の営業を停止する

・従業員や取引先に廃業したことを伝える

・株主総会を開催して解散の決議を実施し、解散の承認を受ける

・「解散及び清算人選任登記」の手続きをする(法務局)

・解散の届出など税務に関係した届出をする(税務署)

・決済書を作成し債務処理をする

・残余財産を分配する

・「清算結了の登記」をする(法務局)

・「清算の確定申告」を行う(税務署)

・「清算結了届」を提出する(税務署)

個人事業主の場合


・「個人事業の廃業届出書」を提出する(税務署)

・従業員がいる場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出する(税務署)

・青色申告者は「青色申告取りやめ届出書」を提出する(税務署)

・消費税の課税事業者の場合は、「事業廃止届出」を提出する(税務署)

各種手続きが終わったら、建物の解体工事や原状回復工事を行います。解体費用の相場は80~100万円ほど。売れ残った医薬品などがある場合は廃棄する必要がありますが、医薬品の廃棄にかかる費用相場は20~30万円ほどです。 債務がある場合は会社を精算する際に現金に換算して返済に充てますが、精算後に残った借金は経営者が返済することになります。

調剤薬局の事業承継を成功させるには


高値で事業承継する秘訣


経営者であれば誰でも、できるだけ好条件で調剤薬局を事業承継できれば…と考えるのではないでしょうか。高値で売るためのコツをご紹介します。

他店にはない独自の強みをアピールする


「この地域で在宅医療サービスをしているのは当調剤薬局だけ」など、他店にはない強みはその調剤薬局の付加価値を高めます。付加価値が高くなる分評価額も上がるため、高値での売却が期待できます。

まずはお客様の声や他店のサービス内容などを調べて、どのような強みがあるのかを改めて把握しましょう。強みを伸ばすことによって付加価値を高めることができれば、さらなる高評価も期待できます。

弱点は他の要素でカバーする


赤字経営は事業承継においてマイナス要素といえますが、プラスの要素でカバーすることによってマイナスイメージが薄れて買い手が見つかることもあります。

弱点をカバーしうる自店舗の強みを把握・アピールするため、立地条件やリピーター率、調剤報酬料額などをデータとしてまとめておきましょう。プラス要素が大手薬局グループなど財力のある買い手のニーズを満たしていれば、赤字でも事業承継ができる可能性が高まります。

条件に合った買い手を見つける


事業承継を受けたい理由は、買い手によって異なります。自店舗の強みと弱みを把握し、付加価値を明らかにしたら、できるだけ高く評価してくれる買い手を探しましょう。

付加価値に魅力を感じてくれる身内や知り合いがいる場合は別ですが、第三者承継(親族や従業員以外の第三者を対象にした事業承継)も視野に入れて幅広く候補者を探すのが得策です。M&A仲介会社に依頼すれば、候補者探しの効率がアップするでしょう。

薬剤師の数を確保しておく


調剤薬局の経営において、薬剤師の存在は不可欠です。特別な資格がなくても調剤薬局の経営はできますが、薬剤師がいなければ薬の調合ができず、経営が成り立ちません。調剤薬局を経営するにあたって十分な薬剤師がすでに確保できていれば、高値で売却できる可能性が高まります。

成約率99.3%の仲介会社による事業承継事例


調剤薬局に特化したM&A仲介会社・アウナラでは、これまで数々の事業承継支援を行い、成功率99.3%という結果を出しています。

今回は、実際に行った事業承継支援の中から事例を3つご紹介します。

50代経営者S様の事業承継支援


事業承継に関するご相談から事業承継支援までをサポートしました。

従業員も含めた引き継ぎをしてくれる買い手様が見つかり、以下のように取引が成立。S様と買い手様の双方からご満足いただきました。

・1日あたりの処方箋応需枚数:50枚

・月技術料:246万円

・月薬剤料:801万円

・成約結果:営業権2,500万円+固定資産+医薬品在庫

60代経営者K様の事業承継支援


「引退したいが廃業は避けたい。だが、後継者が見つからない」とご相談を受けました。

ご相談内容から事業承継が適切な選択であることをアドバイスし、そのままの流れで事業承継支援をスタート。「これまで育ててきた調剤薬局を手放すのにふさわしい方に譲りたい」とのK様の想いを尊重して地道に後継者様を探したところ、結果的にK様から「これで安心して引退できる」とのお言葉をいただける後継者にお繋ぎすることができました。

・1日あたりの処方箋応需枚数:51枚

・月技術料:144万円

・月薬剤料:361万円

・成約結果:営業権430万円+固定資産+医薬品在庫

50代経営者O様の事業承継支援


「従業員がいるので廃業以外の選択はないだろうか」とご相談を受けた時、O様は60歳までに引退を考えていらっしゃいました。

できるだけ高く評価してくれる買い手様を見つけようと、O様と共に調剤薬局の強みや弱みを分析してみると、それまで気づかれていなかった強みが見つかり、希望売却価格よりも高値をつけることが可能に。さらにO様の調剤薬局の強みに興味を持たれた買い手候補が複数現れたため、その中から一番良い条件を提示している方を選ぶことができ、予想以上の結果となりました。

・1日あたりの処方箋応需枚数:45枚

・月技術料:287万円

・月薬剤料:743万円

・成約結果:営業権3,200万円+固定資産+医薬品在庫

手数料0円で事業承継するなら

M&A仲介会社の料金は、各会社によってばらつきがあります。加えて料金形態も複雑であることから、「法外な料金を請求されたら」などと戸惑う方も多いのではないでしょうか。

アウナラは、手数料0円で事業承継に対応しています。

調剤薬局の承継は、愛着のある調剤薬局を存続させたい経営者様にとっても薬の受取場として愛用してきた患者様にとってもより良い未来へ繋げる有効な手段です。また、事業の発展のためにその調剤薬局を必要としている企業様にとっても多大なベネフィットをもたらすでしょう。

このように、薬局業界に良い循環が続くように寄与することがアウナラのミッションの1つ。一人でも多くの方が安心して専門家を頼り、希望する結果を得てほしいとの想いから、あえて手数料をいただかずに明確な料金形態での事業承継支援を行っています。

アウナラでは、売り手様と買い手様双方に最適なサービスを提供するために、薬局専門家チームを結成し対応にあたっています。複数の金融機関や会計事務所と連携し、売り手様の条件にマッチした候補を提示できる体制を整えています。

事業承継の期間はケース・バイ・ケースですが、アウナラではできるだけ最短で完結できるよう、チームが一丸となってお客様をサポートしています。

平均的な所要期間は1~3か月ですが、これまでお手伝いした中には最短1週間で成約に至ったケースもございます。

「うちは小さな調剤薬局だから対応してもらえないだろう」

「事業承継するかどうか分からない段階で相談してもよいのだろうか」

「相談した時に、押し売りみたいなことをされないだろうか」

アウナラなら、そのようなご心配は無用。事業承継するしないにかかわらず、どのようなご相談も大歓迎です。

無料相談では、一切料金は発生しません。もちろん、無理な勧誘もいたしません。事業承継について話を聞いてみたい方、事業継承をすべきかどうかお悩みの方は、ぜひお気軽にご利用ください。

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