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調剤薬局のM&A事例10件!売却相場や最新の動向、注意点についても解説

調剤薬局のM&A事例10件!売却相場や最新の動向、注意点についても解説

調剤薬局のM&Aは、近年増加傾向にあります。

M&Aの流れは、大体どこも同じです。しかし得られる売却益は、調剤薬局の規模などによって大きく異なります。

調剤薬局の売却を検討するにあたって、M&A事例をいくつか確認しておきたいという方もいらっしゃるでしょう。

今回は調剤薬局のM&A事例10件と、調剤薬局M&Aにおける最新の動向、売却益や支払う費用の相場などについてまとめました。

薬局特化型M&A仲介会社の目線から、本音で分かりやすく解説します。

記事を最後までチェックすれば、調剤薬局M&Aの全体像を把握できます。

調剤薬局のM&A事例10件

調剤薬局M&Aの事例を、大手企業によるものと弊社が仲介したものに分けて、5件ずつ紹介します。

大手企業によるM&A事例

まず、大手企業による以下5つのM&A事例を紹介します。

  • スギホールディングスによるI&HへのM&A
  • ウエルシアホールディングスによる金光薬品へのM&A
  • クオールホールディングスによる鹿児島の調剤薬局3社へのM&A
  • メディカル一光による京寿薬局へのM&A
  • 日本調剤によるハート調剤薬局へのM&A

それぞれ詳しく見てみましょう。

スギホールディングスによるI&HへのM&A

スギホールディングスによるI&HへのM&A

スギホールディングス株式会社(スギHD)は、大手薬局チェーン「スギ薬局」を展開する企業です。調剤併設型ドラッグストアの先駆けとして知られています。

2024年2月、スギHDは兵庫県芦屋市に本社を置くI&H株式会社(阪神調剤薬局の運営元)の株式61.89%を取得し、同社を完全子会社化することを発表しました。

スギHDは過去にも複数の薬局チェーンをM&Aで傘下に収めており、全国で調剤薬局のシェア拡大を図っています。

一方のI&Hは調剤薬局運営に加え、介護・福祉や医師の開業支援事業を展開しており、多角的なサービスを提供している企業です。

このM&Aにより、スギHDは調剤薬局業界でのさらなるシェア拡大と、トータルヘルスケア事業の強化を目指しています。

ウエルシアホールディングスによる金光薬品へのM&A

ウエルシアホールディングスによる金光薬品へのM&A

ウエルシアホールディングス株式会社(ウエルシアHD)は、イオングループに属するドラッグストアチェーンです。

2019年6月、ウエルシアHDは岡山県を基盤とする金光薬品株式会社を完全統合しました。

このM&Aにより、金光薬品は消滅します。そしてウエルシアHDは、近畿地方から中国地方への出店地域拡大に成功します。

当時、金光薬品は岡山県内で12店舗の調剤薬局と31店舗のドラッグストアを運営しており、地域密着型の運営が特徴でした。

ウエルシアHDにとってこの統合は、地域シェアの拡大と新市場への進出に大きく貢献しました。

クオールホールディングスによる鹿児島の調剤薬局3社へのM&A

クオールホールディングスによる鹿児島の調剤薬局3社へのM&A

クオールホールディングス株式会社(クオールHD)は、東京都に本社を置く企業です。調剤薬局「クオール薬局」の運営を中心に事業を展開しています。

2023年11月、クオールHDは株式譲渡により、鹿児島県内の3つの調剤薬局を買収しました。対象となったのは以下の3社です。

  • 有限会社エイエムメディカル
  • 有限会社アート
  • はらいがわ調剤薬局有限会社

これらの薬局は、地域医療や在宅医療に強みを持ち、地元で「かかりつけ薬局」として信頼を築いてきた企業です。

クオールHDが目指す地域密着型の薬局運営や、在宅医療の強化という戦略に合致しており、グループ化を通じてさらなるシナジー効果が期待されています。

メディカル一光による京寿薬局へのM&A

メディカル一光による京寿薬局へのM&A

株式会社メディカル一光は三重県に本社を置き、調剤薬局事業を中心に展開する企業です。

同社が運営する「フラワー薬局」は全国各地に出店しており、M&Aを活用しながら着実に事業拡大を進めています。

2023年には、京都府を拠点とする京寿薬局をグループ化しました。

京寿薬局は「さくら薬品」の商号で、京都府京田辺市と城陽市に5店舗を構える調剤薬局チェーンです。地域密着型のサービスを提供し「かかりつけ薬局」として地元住民から信頼を得てきました。

今回のM&Aにより、メディカル一光は京都府を新たな拠点と位置づけ、さらなる事業拡大を目指しています。

日本調剤によるハート調剤薬局へのM&A

日本調剤によるハート調剤薬局へのM&A

日本調剤株式会社(日本調剤)は、1980年に北海道で創業し、現在では全国47都道府県に約500店舗を展開する大手調剤薬局チェーンです。

2021年8月、日本調剤は完全子会社であるハート調剤薬局を吸収合併しました。このM&Aは、親会社による子会社の一元管理を強化し、経営効率を高めることを目的としています。

ハート調剤薬局を直営化することで、管理体制の簡素化やリソースの集約を図り、さらなる成長基盤を構築しています。

日本調剤は、2023年3月期に売上高3,000億円を突破するなど、収益が増加傾向にあります。

今回のM&Aはハート調剤薬局を含む複数の子会社を統合し、経営効率化を進める一環として実施され、同社の成長戦略を象徴する事例となっています。

弊社が仲介を行ったM&A事例

ここまで、大手企業によるM&A事例を5つ紹介しました。

大手企業によるM&Aでは、具体的な金額などについてあまり公開されていません。そして大手企業以外でも、調剤薬局M&Aは行われています。

薬局特化でM&A仲介を行う弊社の事例であれば、より詳細な部分までお伝え可能です。

ここでは、弊社におけるM&A事例を、5つピックアップして紹介します。

M&A事例1

地域東日本地域
業種・職種門前医療機関主科目 内科系
調剤基本料1
後発加算1
月技術料200万円
月薬剤料551万円
日枚数41枚
ドクター年齢60代
在宅なし
従業員引継ぎなし
成約結果営業権1,700万円+固定資産+医薬品在庫

>>薬局特化のM&A仲介「アウナラ」の譲渡事例はこちら

M&A事例2

地域西日本地域
業種・職種門前医療機関主科目 内科系
調剤基本料1
後発加算2
月技術料190万円
月薬剤料242万円
日枚数30枚
ドクター年齢60代
在宅あり
従業員引継ぎあり
成約結果営業権300万円+固定資産+医薬品在庫

>>薬局特化のM&A仲介「アウナラ」の譲渡事例はこちら

M&A事例3

地域東日本地域
業種・職種門前医療機関主科目 外科系
調剤基本料3
後発加算3
月技術料127万円
月薬剤料469万円
日枚数31枚
ドクター年齢50代
在宅あり
従業員引継ぎあり
成約結果営業権150万円+固定資産+医薬品在庫

>>薬局特化のM&A仲介「アウナラ」の譲渡事例はこちら

M&A事例4

地域東日本地域
業種・職種門前医療機関主科目 内科系
調剤基本料1
後発加算2
月技術料97万円
月薬剤料242万円
日枚数18枚
ドクター年齢50代
在宅あり
従業員引継ぎあり
成約結果営業権50万円+固定資産+医薬品在庫

>>薬局特化のM&A仲介「アウナラ」の譲渡事例はこちら

M&A事例5

地域東日本地域
業種・職種門前医療機関主科目 内科系
調剤基本料3
後発加算3
月技術料234万円
月薬剤料634万円
日枚数45枚
ドクター年齢50代
在宅あり
従業員引継ぎあり
成約結果営業権1,800万円+固定資産+医薬品在庫

>>薬局特化のM&A仲介「アウナラ」の譲渡事例はこちら

調剤薬局M&Aにおける最新の動向

調剤薬局業界では、M&Aが増加傾向にあります。M&A増加の背景は以下のとおりです。

  • 人口減少や少子高齢化による後継者不足
  • 市場環境の変化による競争の激化

中小規模の薬局は、大手企業の傘下に入ることで、経営の安定や事業継続が図れます。よってM&Aは有効な選択肢となっています。

異業種から薬局業界への参入が活発化している点も、近年の傾向です。

コンビニや駅施設への薬局併設、オンライン服薬指導の普及といった新しい形態が、次々に導入されています。

こういった形態の調剤薬局が普及することで、患者の多様なニーズに応えられるようになりました。

一方で、中小規模の薬局にとっては、競争の中で生き残るのが難しくなっていると言えます。

調剤薬局M&Aのメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

関連記事:調剤薬局M&Aのメリット・デメリットを売り手・買い手・従業員の各目線から解説!相場や事例も紹介

調剤薬局M&Aの売却相場を決める3つの要素

調剤薬局M&Aの売却相場は、以下3つの要素で決まります。

  • 時価純資産価額
  • 営業権
  • 1ヶ月あたりの技術料

1つずつ詳しく解説します。

時価純資産価額

時価純資産価額とは、企業が保有する資産の時価評価額から負債の時価評価額を差し引いた金額を指します。

調剤薬局における主な資産は以下のとおりです。

  • 調剤機器
  • 不動産
  • 在庫

負債の例としては以下のとおりです。

  • 銀行からの借入金
  • 買掛金

この指標を用いることで、現時点での企業価値を客観的に把握できます。

株式市場に上場していない企業の場合、株価が存在しません。よって時価純資産価額が、企業価値を評価する基本的な指標となります。

しかし時価純資産価額は有形資産に基づいた評価であり、ブランド力や顧客との信頼関係といった無形資産の価値は反映されません。

そのため、調剤薬局の価値を正確に評価するためには、他の指標と組み合わせて分析する必要があります。

営業権

営業権は、企業が持続的に収益を生み出す力を表す無形資産です。時価純資産価額では評価しきれない要素を補完する、重要な指標となります。

営業権に含まれる無形資産の例は、以下のとおりです。

  • 患者との信頼関係
  • 地域でのブランド力
  • 従業員の専門スキル

特に、地域密着型の調剤薬局では、患者の定着率や地域医療での存在感が営業権の大きな要因となります。

営業権は、1年間の営業利益に将来の成長性を加味して算出されます。薬局ごとにその評価額は大きく異なります。

例えば、弊社で公開している譲渡事例でも、営業権の評価額は0〜数千万円と幅広いです。

1ヶ月あたりの技術料

1ヶ月あたりの技術料は、調剤技術料と薬学管理料を合計して算出される指標です。調剤薬局の収益性や運営能力を評価する際に重要な役割を果たします。

1ヶ月あたりの技術料は、薬局の規模、患者数、処方箋の内容や件数などによって変動します。

調剤報酬の中核をなす要素であるため、M&Aにおいて買い手が特に注目すべきポイントです。

例えば患者から信頼され、継続的に利用されている薬局では、技術料の割合が安定します。よってM&Aにおける譲渡価格を決定する上でプラスに働きます。

技術料が安定している薬局は、外部環境や薬価改定の影響を受けにくいとみなされ、買い手にとって魅力的な投資先となるでしょう。

関連記事:調剤薬局の売却を検討中の方必見!相場や高値で売るコツを解説

調剤薬局M&Aで譲渡側が支払う費用の相場

調剤薬局M&Aでは、買い手側がさまざまな費用を支払います。

譲渡側が支払うのは、売却益に対してかかる以下3つの税金くらいです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税

これらは普段から支払っている税金なので、特別気にする必要はありません。しかし売却益によっては、翌年に想定以上の税金を支払うことになるので要注意です。

M&Aでは、仲介業者を利用するのが一般的です。仲介業者への依頼にも、費用がかかります。

仲介業者には、成功報酬型を採用しているところがあります。成功報酬型だと、万が一M&Aが成立しなかった場合は、費用を支払う必要がありません。

またM&Aが成立した場合も、売却益から報酬を支払えば良いので、金銭的なリスクを避けられます。

調剤薬局の譲渡相場や支払う費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:調剤薬局の譲渡相場は?事業継承・M&Aに分けて詳しく解説

調剤薬局のM&Aは個人でもできる?

調剤薬局のM&Aは、手続きの複雑さと専門知識の必要性から、個人で完結させるのは非現実的です。

M&Aには、譲渡価格の査定・買い手選定・交渉・契約締結・さらには行政手続きやデューデリジェンスなどが必要です。

これらを適切に進めるには、財務や法務、薬局業界特有の規制に関する深い理解が欠かせません。

買い手との条件交渉では、経験や市場知識が不足していると、不利な条件を受け入れてしまう可能性があります。

調剤薬局のM&Aを成功させるには、専門のM&A仲介業者のサポートが不可欠です。

仲介業者は、売り手と買い手の橋渡し役として、適切な買い手候補の選定や価格交渉、契約手続きのサポートを行います。

またデューデリジェンスや行政手続きのフォローも行うため、スムーズな譲渡を実現できます。

調剤薬局M&Aの注意点3つ

調剤薬局M&Aの注意点は、以下の3つです。

  • 周囲の反対を受ける可能性が高い
  • M&Aには最短でも6ヶ月かかる
  • 仲介業者によって料金形態が異なる

1つずつ詳しく見てみましょう。

周囲の反対を受ける可能性が高い

調剤薬局のM&Aでは、従業員や取引先、地域住民からの反対が予想されます。

従業員は、経営者の交代や職場環境の変化に対して不安を抱くでしょう。取引先や地域住民にとっても、経営方針の変更が不安材料となり得ます。

例えば地域住民は「これまでのようなサービスが受けられなくなるのではないか」と不安を抱きます。

従業員のなかには、離職をする方が出てくるかもしれません。

周囲の反対を最小限に抑えるには、M&Aに至る理由や譲渡後の運営方針を事前に丁寧に説明し、信頼関係を築くことが重要です。

特に従業員には、譲渡後の雇用条件や役割がどうなるかを具体的に示し、安心感を与えましょう。

取引先や地域住民にも、これまで通りのサービスが提供されることを説明し、不安を払拭する努力が求められます。

M&Aには最短でも6ヶ月かかる

調剤薬局のM&Aには、各種手続きや交渉のプロセスがあり、完了までには最短でも6ヶ月以上かかるのが一般的です。

なかには2年以上かかるケースもあります。個人経営の調剤薬局であれば、1年以内に完了するケースも珍しくありません。

調剤薬局の譲渡手続きにかかる期間の大まかな目安は以下のとおりです。

  • M&A先の選定:約1ヶ月
  • 基本合意から最終契約まで:約3ヶ月
  • PMI:約6ヶ月

M&Aを検討する際は、事前にスケジュールを計画し、余裕を持った準備を進めることが大切です。

スムーズな進行には、経験豊富な仲介業者のサポートを受けることが不可欠です。

関連記事:調剤薬局の譲渡に必要な手続きとは?遡及申請やかかる期間についても解説

仲介業者によって料金形態が異なる

M&A仲介業者を選ぶ際は、料金形態の違いに注意しましょう。

仲介業者の料金体系は、主に以下の3種類です。

  • 成功報酬型
  • 着手金+成功報酬型
  • 固定報酬型

おすすめは成功報酬型です。

M&Aが成立した場合にのみ報酬を支払う仕組みなので、初期費用を抑えたい場合に適しています。

また医療・薬局業界に詳しいM&A仲介業者がおすすめです。業界独自の規制や手続きが多く、一般的なM&A仲介業者では対応が難しい場合があるからです。

薬局業界に特化したデータベースやネットワークを活用することで、条件に合う買い手や売り手を効率的に見つけられます。

医療・薬局業界に詳しい、成功報酬型のM&A仲介業者がおすすめです。

調剤薬局のM&Aはアウナラにおまかせください

調剤薬局のM&Aはアウナラにおまかせください

アウナラは、薬局業界特化型のM&A仲介会社です。

薬歴メーカー元代表をはじめ、薬剤師や公認会計士などその道のスペシャリストで構成されたチームが、クライアントのM&Aを全力でサポートします。

料金体系は成功報酬型なので、M&Aが成功しない限り手数料はかかりません。また売却益の一部が仲介手数料になるので、売り手様は完全無料でM&Aを行えます。

アウナラは、これまでに全国のさまざまな調剤薬局M&Aを支援してきました。薬価交渉や税務支援などを含むM&Aの実績も豊富です。

アウナラでは、全ての調剤薬局経営者様にM&Aをおすすめすることはありません。「M&Aをしたほうが良いかどうか」から判断させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

相談料も完全無料です。

>>薬局特化型のM&A仲介会社「アウナラ」はこちら

まとめ

調剤薬局のM&A事例10件と、調剤薬局M&Aにおける最新の動向、売却益や支払う費用の相場などについて解説しました。

調剤薬局のM&Aは、増加傾向にあります。売却益などの条件は、M&Aごとに大きく異なります。

そしてM&Aを成功に導くには、業界特有の知識や経験が必要です。

譲渡価格の算定や行政手続き、買い手との交渉など、多岐にわたるプロセスを適切に進めるには、医療・薬局業界に特化したM&A仲介業者のサポートが不可欠です。

従業員や取引先との信頼関係を保ちながら、スムーズに手続きを進めるためには、事前の計画と十分な準備が欠かせません。

仲介業者を活用すれば、買い手選定や交渉だけでなく、譲渡後のPMIまで専門的な支援を受けられます。

アウナラは、薬局業界特化型のM&A仲介会社です。成功報酬型なので、売り手様は完全無料でM&Aを行えます。詳細は以下よりチェックしてみてください。